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事務局からのお知らせ| その他 - 2025.03.22

母校大循環が織りなす未来へ-磯村会長の卒業式祝辞全文

磯村会長の卒業式の祝辞を全文掲載します。

社団法人宇部しらとり会の会長を拝命しております磯村と申します。宇部しらとり会を代表して一言ご挨拶させていただきます。
本科卒業の皆さん、専攻科修了の皆さん、本日は誠におめでとうございます。
そして、これまで卒業生を支えてこられたご家族や保護者のみなさまに、心からお慶び申し上げます。
宇部工業高等専門学校は1962年に全国高専の第一期校として開校し、これまで一万人近い卒業生が社会に出て活躍をしております。皆さんはこの仲間に入って行く事になりますが、今日で宇部高専と縁が切れる訳ではありません。母校を支える大きなサイクルを保つ役になります。私は母校大循環と呼んでいますが、これは社会に出た卒業生が活躍する事により社会貢献につながり、母校も注目されるようなります。その結果、宇部高専は社会的に良き評価を受け、それを知った優秀な若い子が宇部高専を目差し入学し、学校はその人材を育成し社会に送り出す。また多くの企業がその卒業生を求め、採用し、そして社会で活躍する。この大きな循環が今も続いています。皆さんも今日からこの大循環を支える一人になるますので、頑張って欲しいと思います。
さて、皆さんはこれから直ぐに社会に出る人、若干の学業期間を経て社会に出る人もいますが。私から二つお伝えしたいことがあります。
先ずは「働く意義とは」です。これから人生で大半の時間は仕事に携わることになりますが、一般的に大きく三つの事が言われています。一つは、生活を維持するための収入を得るということです。これだけを考えると仕事は「しなければならない事」になり、最悪の場合、仕事は収入を得るための必要悪になってしまい、辛い人生となります。二つ目は社会貢献ですが、直接社会に貢献する仕事は少なく、目的を失いそうですが、三つ目と大きく係わります。その三つ目は自己実現と言われ、自分の個性や能力に加え、知識やスキルを身につけ、常に自分を磨き、自分らしさを発揮することです。仕事は自分の思い通りに進むことはなく、問題を把握し、課題を考え、対策を講じて行かねばなりません。これには、常に自分のレベルアップを図り実践的な力を身につけ挑む必要があります。そうして仕事をやり遂げれば、強い達成感を得る事ができ、その達成感は次の仕事への意欲につながり、更にスキルを磨き、自分を高めるといったサイクルを作り、仕事は「しなければならないもの」ではなく、自ら動いて「するもの」となり、仕事を通して自分のあるべき姿に近づいてゆきます。これが自己実現です。実はこうしたサイクルで仕事に挑戦し成果を上げることが社会貢献につながっているのです。紹介した三つの順の逆で、先ず求めるのは自己実現で、その先が社会貢献につながり、その対価として収入が得られるというのが私の考える働く意義です。
そしてもう一つ伝えたいことは「他者を理解する力」を備え、磨いて欲しいという事です。これから、今以上に自分とは異なる価値観や育った環境が異なる人達と接することが多くなり、この中で相手の感情や意図を理解し尊重する力は非常に大切です。仕事をする中で、テクニカルなスキルは勿論必要ですが、傾聴する、共感する、リスペクトする等人間に関わる要素は欠くことはできません。
皆さんは校歌にある「毀れぬ剣を磨きて時の試練に打ち勝たん」とのフレーズを覚えていますか、これはは自己実現に向けてのエールです。ぶれない自分を保ち、磨くはテクニカルスキルだけではありません、人としての心も磨きながらこれから仕事に臨んでください。それが、社会貢献につながり、ひいては母校大循環を支えることになります。
最後になりますが、これから、宇部高専を卒業したことに誇りを持ち、常に毀れぬ剣を磨き続け、自己実現に向かっていかれることを心から祈念いたしまして、私からの祝辞といたします。
令和7年3月21日
宇部しらとり会 会長 第11期生 磯村尚史

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